ドリーム小説




「パッドフット?君、大丈夫かい?」






悪いって分かってても、今の俺にはプロングズの心配さえ煩わしい。
が俺のことを忘れてる。(それに俺を見ると顔を歪めるんだ。)
時間が巻き戻れば良いなんて、そんなありえないことまで考えてしまって。
(その方法がもしあったとして、俺には道具も知識もない。)








「え?!の記憶が?」
「それも、パッドフットだけ?」
「何か、良い方法はないかな?」
「ショックを与えるのはどうかしら?」
「でも、ショックって君、をもう一度階段から落とすって言うのかい?」
「パッドフット?どう思う?」
「・・・俺、もう寝るわ。」






みんなに悪いって分かってるのに。
イライラが止まらなくて男子寮への足取りも心なしか早くなってしまっている。







「シリウス!忘れられてるのは貴方なのよ!?」
「リリー。僕たちだけで考えよう。今アイツに必要なのは“ひとりになれる時間”だよ。」







頭を殴られたような衝撃が俺を襲った。
リリーのひとことが頭から離れなくなって何度も頭の中でこだまする。
男子寮のドアを閉めるのも乱暴になってしまって。









そんなこと・・・俺が忘れられてるってことぐらい痛いくらいに理解してる。
明日になったら“実は全部ドッキリでした!”なんていつも通りのが俺を尋ねてくればいいのに。(もういっそ眠ってしまおう。)







心にわだかまりを残したまま、俺は意識を手放した。













「シリウス!」




が俺の名前を呼ぶ。でも、これは夢だ。
今の俺にはこれが夢だって充分理解できる。
の隣に“俺”がいるのを上から見てるから。
(あれはすべてが幸福だった頃の俺かも知れない。)





。」
「なに?」







    のこと    世界    やる」
  に?!         な?」
 る、出来  の話  てし 無駄。俺、   決め   。」
「じ    あ約束だよ。」
「おぅ。」






急に耳の感覚がおかしくなって会話が正確に聞き取れなくなった。
俺とが何か約束していた?
俺はに何を言ったんだ?








「シリウス!」




あの頃のが俺のことをあんなに慈しむような目で見てくれていたなんて。
俺は、何も知らなかった。
大事にしたいって、ずっと思っていたのに
いつからかが隣にいるのが当たり前になってしまって。
(すべてが幸福だったのは隣にいてくれたのお陰。)





何もかも全てを取り戻したい。
の記憶もさっきの約束も。





「ごめんなさい。私、あなたのこと・・・知らないみたい。」




今ならあの悪夢のような台詞も受け入れられるような気がする。
たとえ記憶が抜け落ちていたって、ふたりで過ごした日々は変わらないから。





奪われてしまったのなら奪い返せば良いんだ。



顔を歪めてしまうのはあなたじゃなくて頭痛のせいなのに。




(20080116)

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