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あなたは元気でやっていますか? 転校をした。それも2ヶ月前に。こっちの子たちはテニス部に近寄りさえしなければ基本、皆が仲良くしてくれる。それでも私はそんな子たちとは趣味があわないからクラスの中でもごく少数(っていうかひとり)しかいないテニス部ファンじゃない子といつも一緒にいる。 「ってさ。」 「なに?」 「珍しいよね。」 「何よ急に。」 「この学校ってどんなに嫌ってても一時はみんなテニス部の誰かが好きになるのよ。・・・私を除いてだけど。」 「あ、私は絶対ないわ。テニス部の人なんて好きにならないから。」 「2ヶ月で落ちなかった子初めて見た。」 「私、側の人間だもん。」 大好きだったあの人はいつだってあの黄色いボールを追いかけていた。私の中でテニスといったら彼しか浮かんでこないから、テニス部なんて今は疎ましいだけだ。・・・彼は、蔵ノ介は、私が見た最後のあの時だって黄色い球を追いかけていて、それから練習の合間に私に声をかけてくれた。転校することを言ってなかった私は蔵ノ介のいつもと同じ笑顔に何度も涙を堪えなければいけなかった。 「ねぇ、じゃあ私の趣味に付き合ってよ。」 「趣味?」 「うん。私、彼らの写真を売ってお小遣い稼いでるの。」 「へぇ・・・って、嫌いなんじゃないの?」 「嫌いよ。私、金持ちって大嫌いだからあの部活は悪魔の巣窟ね。」 「じゃあ何で・・・ 「この学校、馬鹿女ばっかだからみんな買うの。あんな奴らの写真。」 けらけらけら。彼女はとても楽しそうに笑った。私はいつから関西弁が使えなくなってしまったのだろう。大阪で身に付けたあの笑い方もノリツッコミもこっちの人は誰だって必要としてくれない。それに、関西弁を使うとあの場所を思い出してどうしてもダメなのだ。彼や彼の仲間たちが私の中で走馬灯のように駆け巡ってしまって。 「ってことで、帰ろうと思ったけどテニスコートに行こう。」 「え」 私たちは校門に向かって歩いていたのにの急な思いつきで方向を変えた。反論したいのにの空気がそれを許してくれない。 「ねぇ、私、テニスが嫌いなの。」 「早く帰りたいって思ってるのね。」 「違っ、違うわ!本当によ。」 「ダメよ。私、今月ピンチだから今日撮りに行かないと明日のお昼が危ういわ。」 はそう言うと私をグイグイとテニスコートの方へ引っぱっていく。あぁ、あのボールの音だ。やっぱり、あの音は打つ人によって変わる。蔵ノ介の音はここに居る人たちのよりも、もっと鋭かった。 「ねぇ、これ以上は私、本当にダメ。」 「もう少しよ。せめてフェンスの際まで行かなきゃ。・・・ごめんね。でも、お弁当代がかかってるのお願い!」 困ったように言われて断れるほど私は強くない。・・・耳鳴りが酷い。フェンスに近づけば近づくほど。 『ちゃん!今日も元気やな〜』 『あ、!小春は渡さんどー!』 『ちゃん、今度ワイにタコ焼き買うて。』 『、ここ怪我しとる。手当てぐらいちゃんとせぇ。』 『、ナニワのスピードスターの走りしっかり見とけよ。』 『ちゃんがおったから俺、頑張れたたい。』 気を抜けば頭の中でフラッシュバックする。彼らの声や動作やそれから癖も。 やめてやめてやめて。あそこには嬉しい思い出ばかりだから。思い出したらキリがないから。思ったって戻れないから。 「?もう少し行ける?」 「もう本当にダメ。」 「・・・ごめんね。私、自分勝手だった。ここから先へは自分ひとりだけで行く。」 「うん。」 彼女の背中が遠くなる。私の中では今もボールの音がこだましてお腹にずんずん響いてくる。お願いだからやめてください。私の中で彼らは大事すぎるから。思いが強くなればなるほど怖くて仕方なくなる。もし忘れられていたらどうしよう、新しいマネージャーを入れて私のいないテニス部が出来ていたらどうしようなんて。もしそうなのならば私のこの思いは一体どこに行けば救われるのだろう。怖い怖い怖い。小春ちゃんもユージも金ちゃんも銀さんも謙也も千歳も・・・白石も私を忘れていたら? 考え出したら急に視界がブレて私の中でより一層強くボールの音が響いた。 『、俺がお前を全国に連れてったる。』 Interval ↓反転で後書き↓ 思いついてから割とすぐに出来た作品でした。 最後さんは気を失っています。 拍手で白石くんが好きだという意見をいただいたので 書いてみたのですが、白石くん出てこないじゃんみたいなね;; 近々、白石くんもキーパーソンになる連載を始める予定ですので そっちもよろしくお願いします。 (20080426) |