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あたしにぶつかってくれたお兄さんにちょっとだけ感謝したい気持ちやわ。 修学旅行で昔なつかしの九州に来て、友達とはぐれて、ガラの悪いお兄さんにぶつかってお金を取られそうになって、千歳に助けられ、千歳と連れだってファミレスに入ってから今に至る。千歳は部活の帰りやったらしく、どこ行く?って話になった時に盛大にお腹を鳴らしてその問いの答えを出してくれた。怖いお兄さんから助けてもらったし何かご飯おごろうかと思ったんやけど、『そいは男んメンツの立たなかよー。』と断られ、結局、ドリンクバーだけをおごるってことで話に決着がついた。 「それにしても、ちゃん全然変わらんけんね。」 「えー、千歳やってこんなに背ぇ伸びてても何も変わってないやん。」 「俺ら似たもん同士やね。」 ほんとに千歳は昔の千歳のままで、ちょっと面白いぐらいや。立ってるときに目を合わそうと思うと首が痛くなるけど、それ以外はほんまに何も変わってない。 「その身長の景色ってどんな感じなん?便利そうやなぁ。一家にひとり千歳!みたいな感じ。」 「なんねそれ。全然よかじゃなかよ。」 「あー、千歳って電車のドアとかで頭ぶつけてそうやもんな。」 「何で分かったとね?」 「ほんまにぶつけるんかい。気ぃつけや。」 「ちゃんは相変わらず関西弁やね。」 「まぁなぁ。九州におった時もずっとそうやったし。」 「今、どこん高校行っちると?」 「大阪の四天宝寺ってとこ。」 「へぇ。俺もそこの高校行きたかー。」 「いまさら?まぁ、でも千歳がおったら楽しいかも。」 「高校楽しくなかと?」 「楽しいよ。せやけど、友達と喧嘩してしもてさ。」 「素直に謝れんのやね。」 「まぁなぁ。」 「意外に簡単なこつかも知れん。勇気出してみたら?」 「・・・そやなぁ。話してみよかなぁ。」 「ちゃん、その意気たい。」 不思議なことに千歳の一言で蔵とまた話をしてみようかなぁ。っていう気になった。昔から千歳はすごい。本人は全然そんな気がなくても、ナチュラルにあたしの背中を押してくれる。小学生やった時、転校生でなかなか友達が出来んかったあたしの背中を押してくれたのも千歳やったし。うん、やっぱり千歳はすごいな。あたしのことをよく分かってくれとる。 「ここばい!」 ファミレスを出てから、千歳にひっぱられて着いた場所は雑貨屋さんで、でっかい千歳と可愛いお店の組み合わせにふき出しそうになった。 「千歳、えらい可愛い店知っとるやん!」 「俺のお気に入りの店ばい。トトロんピアスば売っとるもん。」 「千歳、昔からトトロ好きやなぁ。」 「ちゃんは、トトロ好いとう?」 「うん。あたしも好き。可愛いやんな。」 「そんなら、再会できたお礼にプレゼント。俺とお揃いばい。」 「ほんまに?でも、あたしが助けてもらったのに。」 「細かいこつは気にしたら負けばい。」 そう言うと千歳はピアスを手にレジへと向かう。あたしはそれを追いかけつつ、お店に置いてある商品のチェックも忘れへん。あたしの目に入ったのは足につける用のミサンガ。これなら千歳にも付けてもらえるかも知れへん。ミサンガの途中にちっちゃいトトロの飾り付きやし。 「ちゃんも何か買う?」 「うん。」 千歳の後ろに並んでお会計を済ます。店を出たところで千歳に向き合った。 「千歳。」 「何ね。」 「これ。お揃い返し。」 「ちかっぱむぞらしか。」 「トトロのミサンガ。足首につけるねんて。」 「ちゃんも付けると?」 「うん。」 「何お願いするん?」 「テニス部のみんなが全国優勝出来ますように。」 「四天宝寺んみんなは幸せやね。」 「千歳は?」 「俺ん願いも全国優勝ばい。」 「そんなん敵やのに!」 「俺んことは応援してくれんと?」 「千歳のことは応援しとるけど、決勝で四天宝寺と当たったら迷う。」 「何ねそれ。」 そうこうしてるうちに、空の色はオレンジに色を変えていて、集合せなアカン時間が近づいてきた。 「千歳君。」 「何ねさん。」 「残念なことにもう17時だよ。」 「あ、本当ばい。」 「そろそろ、ホテルに向かって歩きださな間に合わんかも。」 「そいぎ行こう。」 「うん。」 隣におる大きい男の子のおかげで、あたしは今日をめちゃくちゃ満喫出来た。やっぱり、千歳の隣は居心地がえぇな。 「着いた。」 「今日は。ほんまにありがとうな。」 「こちらこそ。」 「ほな、またね。」 「おぅ。」 そう言うて、大きい背中はオレンジの中に溶けてった。・・・あ、メアドとか聞くの忘れた。 (およそ、1年半ぶりの更新・・・。ラストも決まってて、大体の流れも決まってるのに、文章打ち込むのが遅いというね。もっと綺麗な文が書けるようになりたいなぁ。) (20120903) Top Next→ |