ドリーム小説




「今日は秋の長雨の後の休息。綺麗な青空が広がるでしょう。」・・・なんてえぇ笑顔で言い放ったあのアホキャスター、ほんまにしばいたろか。






下駄箱には人っ子ひとりおらへん。みんな急に発令された暴風警報と大雨洪水警報を受けていそいそと帰って行ってしまった。テニス部はこんなときでもミーティングがあるらしくても謙也も蔵ノ介も小春ちゃんもみんな会議室に行ってしまっとる。もあたしと一緒に「傘がないー」ってギャーギャー騒いどったけどテニス部はミーティングのあと渡邊センセの送迎があるらしくて羨ましいことこの上ない。(あたし傘ないんやけど、ほんまにどうすれば良いんやろう。)かれこれ1時間、こうやって下駄箱に立ち尽くしとる。どうすることも出来ずにたくさんの雨を見送って。





?」




後ろから声をかけられた。




「あ、蓮先輩。」




声をかけてきたのは一緒にバンドを組んどる先輩で先輩の顔を見たあたしはちょっと安心してしまった。




「自分、こんな時間まで何やっとんの?」
「傘忘れたんです。」
「アホやな。」
「はい。」
「・・・俺の傘、入ってくか?」
「え!?」
「駅までやろ?」





先輩は親切にしてくれたけど、残念ながらあたしは駅まで行かへん。素敵に自転車通学や。





「あたし、チャリ通です。まぁ、この雨じゃ歩いて帰るしか無理そうですけど。」
「そうか。・・・送ってったろか」
「もっと悪いですよ。蓮先輩、駅までやないですか。あたしん家、おもっきり逆方向ですもん。」
「でも、どないすんねんな。」
「うーん、もしかしたら止むかも知れへんし。」
「無理やと思うけどな。遠慮せんと俺の傘入ってったらえぇやん。」
「でも・・・」




「あれ??」




急に割って入ってきたのは蔵ノ介であたしは適当に苦笑いを返す。




「自分、まだ帰ってへんかったんか。」
「傘、忘れたねん。」
「なんや、ほんなら俺が入れてったるよ。」




蔵ノ介の家はあたしの家のもう少し向こうにある。やから、方向も一緒やしあんまり迷惑をかけることにもならへん。蓮先輩にわざわざ遠回りしてもらうよりも良さそうや。





「先輩、蔵ノ介とあたし同じ方向やし蔵ノ介に入れてもらうことにします。」
「・・・そうか。」
「お気遣いありがとうございます。先輩の優しいとこ好きです。」
「・・・ほなな。」



先輩は靴を履きかえると帰って行った。あたしはそれを見送ると蔵ノ介の方に向き直る。




「ありがとう。めっちゃ助かったわ。」
「・・・。」
「蔵?」
「おっ、おぅ。えぇよ。」




蔵ノ介は意識をどっかに飛ばしとったみたいであたしが声をちょっと大きくしたらめっちゃ驚いたような顔をしてこっちを見た。



「早よ帰ろ。」
「おぅ。」



靴をはきかえて外に出る。雨はさっきよりも強くなっとって、あたしは苦笑いをこぼしてしまった。



「早よ入り。」



蔵ノ介の左隣に肩を並べる。あたしが濡れやんように蔵ノ介が傘を傾けてくれとるんが分かる。こういう優しいところが純粋に凄いと思う。



「ありがとう。」
「えぇよ。」




沈黙が長い。雨の音しか聞こえへんし、まわりには誰も歩いてへん。




。」
「何?」
「自分なー、簡単に好きとか言うなや。」
「何で?」
「いや、何でって言われても。」




変な蔵ノ介。あたしはみんなが好きなだけや。あたしのまわりに居る人たちはみんなほんまに良い人ばっかりやから。たとえば蓮先輩はぶっきらぼうそうに見えてあぁいうときにめっちゃ優しくしてくれたり、奈々先輩はあたしが落ち込んでたらすぐに気付いて話聞いてくれたり、直樹先輩はいっつも面白い話ばっかしてくれたり。それにはあたしの唯一無二の親友で謙也は口は悪いけど苦しいときにいっつも優しくしてくれて、小春ちゃんはすれ違う度に声かけてくれたり抱きついても嫌な顔ひとつせず受け止めてくれる。それに、蔵ノ介も。あたしのワガママを嫌な顔ひとつせず叶えてくれて、何やかんや言うても最後には笑ってあたしのお願いを聞いてくれる。『ありがとう』とか『相手の好きなところ』とか伝えられるときに伝えとかんと後からいっぱい後悔するから。あたしはもう2度と後悔したくないから。やから、思ったときに口に出すようにしとるだけやのに。





「あたし、蔵ノ介の優しいところも好きやで。」
「・・・。これ使ってえぇよ。」




蔵ノ介はそう言うと傘をあたしに押し付けて雨の中を走って行ってしまった。あたしは蔵ノ介を追うことも引き止めることも出来んとただ立ち尽くすしか出来へん。え?何?何で?あたし、蔵ノ介のこと何か怒らすようなこと言ったかな。『蔵ノ介に嫌われたかも。』そう考えたとき、何でか知らんけど胸の奥がめちゃくちゃ痛くなったような気がした。



(そろそろ恋愛の方も動かして行きたいと思います。(ちなみに今は高1の11月頃です。夏からこんなに飛びました;;)まだ、最後に白石くんとくっつくのか謙也くんとくっつくのか決められてません><;今回の話では、拍手で結構『白石くんが好きです』という感想をいただくので白石くんといちゃこらさせてみました。近々、白石君目線を書くつもりでいます。逃げてしまったときの心理とかね。あー、私も白石くんと相合傘したいなぁ・・・。(←切実)そういや、この連載もこの話で遂に2ケタです。自分でも驚いてます。たくさんの拍手と感想をくださったみなさんに、それから読んでいてくださる皆さんに本当に感謝してます。ありがとう。)



(20080503)


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