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まさか、こんなところで会えるとは思わんかった。 天気は生憎の雨でおまけに監督の親が危篤とかで部活が急に中止になった。特に何もすることがなかった俺は、久しぶりに近くの図書館の自動ドアを抜けて、ラブロマンス小説が置いてあるところへと足を運んだ。(このあとは家に帰って借りた本を読破するつもりや。) どこかで見たような顔と目が合うた。彼女も俺の顔を見ながら煮え切らん顔をしとる。あぁ、彼女はこのあいだ隣に引越してきたさんや。俺はまだ困惑顔のさんに近づいた。 「さん?」 「え?・・・」 「隣の忍足や。」 「あぁ!そうそう忍足くんやんな。」 「もしかして忘れとったん?」 「ごめんごめん。」 「さんはどんな本読むん?」 目線をさんの手元にやる。俺は固まってしもた。 「さんの知り合い、誰か子供産みはるん?」 「え!?・・・あぁ。私が産むんや。」 違和感の正体に気付いてしもた。さんは全体的に細いのにお腹だけがちょっと出とって。なんか妙やな思てたけど原因はこれやったんか。 「何ヶ月なん?」 「4ヶ月の終わり。」 答えたときのさんの表情はめちゃめちゃ優しくて、俺は「あぁ、お母さんなんやなぁ」と思った。 「元気な子、産んでな。」 「・・・おおきに。」 「でも残念やわ。」 「何が?」 「さんが氷帝に来たらえぇな思てたのに。」 「?」 「氷帝で大阪出身ってなかなかおらへんから。」 「なぁ。」 「なに?」 「やっぱえぇわ。」 「気になるやん。」 「いや、大したことやないから。」 「そうなん?」 「うん。じゃあ、私そろそろ帰るわ。帰りに雑貨屋寄って行きたいし。」 「そうか。」 「ほなね。」 そう言うとさんは自動ドアを抜けて外へと出て行ってしもた。・・・それにしても。さんが妊婦やなんて思いも寄らんかった。俺と同じ高1でしかも俺よりあんなに小さいのにお母さんやなんて。世の中はほんま分からへんな。 「けーちゃんの馬鹿馬鹿馬鹿!」 昨日はあの後、予定通り家に帰ってラブロマンスを全部読破した。本読んだだけで終わってく休日もたまにはえぇかなんて思って、いつもよりだいぶ早めに眠りについた。それでまた月曜がはじまってどうでもえぇ数学の授業にも耐えて部活に来てみたらこれや。部室の中には俺とジローと跡部と宍戸。ジローは跡部の前に座ってちっさい子供みたいにだだをこねとる。 「るっせぇ。」 「何でそんな大事なこと教えてくれなかったの!?」 「俺だって、まだアイツがどこに居るか聞かされてねぇんだよ。」 「東京に居るって言ったC!」 「東京に居ることは確かだが、それ以上は分からねぇ。」 「ちぇっ、久しぶりにちゃんに会えると思ったのにー。」 「まぁまぁ、ジロー。のことだからそのうちひょっこり遊びにくるかも知れねぇぜ。」 「ちぇっ。」 「つかよー、跡部お前、のメアドとか知らねぇの?」 「・・・聞くの忘れてたんだよ。」 「ん?あ、あー!おれメアド知ってる!」 「馬鹿ジロー。とっとと連絡とりやがれ。」 「けーちゃん、機嫌悪くなった!」 何が何やら訳が分からん。ジローはさっきまで機嫌が悪かったのにいきなり元気になっとるし、宍戸はあんまり変わりないように見えるけど実際ちょっと口元緩んどるし、逆に跡部は眉間のしわ濃くなっとるし。 「あ?忍足いたのかよ?」 「あー、侑ちゃん元気?」 「・・・・。」 「自分ら、気付くん遅いわ。」 ケラケラ笑いながら聞いてきたジローは誰が見たって機嫌がえぇ。メールをすごい早さで打ち込んだかと思えば携帯を握り締めて「早くこーい」なんて言いながら念を送っとる。俺はそれを見やりながらロッカーに手をかけた。つかの間の休息も終わったし、また今日から頑張ろや。 (はい、重大事実発覚!(←)さんは妊婦でした。ということで、名前変換の予備欄は子供の名前になります。女の子か男の子かはまだ秘密にしておきたいのでもう少しお待ちくださいね!ちなみに子供の父親も秘密です。) (20080608) Menu Next |