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私は不幸なんやってそんなこと微塵も思ってへん。むしろありがとうでいっぱいや。あんな別れ方してしもたけど多分私がずっと好きでおれるんはアンタしかおれへんよ。 ベッドの中で寝返りを打つ。何回も何回も。隣の家の人の苗字、最近まで連れ立って馬鹿やっとった人と同じやった。まぁ、それももう3ヶ月も前のこと。私は3ヶ月前に高校をやめた。それから何かから隠れるようにして大阪の中を転々と移り住んで、最後にはやっぱりあの人たちに見つかった。まぁ、そのときにはもうどうしようも出来へん状態やったから私も逃げも隠れもせずにその人らと対面したんやけど、その人らはこっちが拍子抜けするぐらい寛大で理由を話したら『何でもっと早く教えてくれなかったの。』なんて嬉しい言葉と一緒にこのマンションを借りてくれた。 新しい生活にわくわくしとる。これから何が起こるのかわからんし正直言えば結構不安やけど、あの人らには心配かけられへんし『一緒に住もう』って言ってくれたのを断ってここを借りてもらったんは私なんやから頑張らなアカン。それから襲ってくる眠気に身を任せて私は自然と意識を手放した。 起きぬけの朝はだるくてだるくて仕方ない。やけに太陽が高いなぁなんて思って携帯を手にとって見れば時間はもう12時や。ありえへん。寝すぎやろ自分。(この身体は眠くて眠くて仕方ない)とりあえずベッドから起きて全部の部屋のカーテンを開けにかかる。 ベランダの向こうで高校生が体育の授業を受けとる。3ヶ月前は私もあそこにおったはずやのに。人生って何が起こるか本当に分からへんな。うん。こんな辛気臭いこと考えたないのに頭の中をぐるぐる駆け巡るのは大事な思い出ばっかりや。 「ちゃん?調子はどう?」 家のチャイムが鳴ったかと思えば入ってきたのは私のおばさんやった。相変わらず上品な感じで私のお母さんと同い年やとは思えへん。(おばさんとうちのお母さんは双子やったんや。) 「ぼちぼちです。」 「そう。・・・何かあったらすぐに連絡してね。」 「はい。」 「ちゃんは私の娘みたいなものなんだから。」 「ありがとうございます。」 「あ、今度あの子に会ってやってくれないかしら。メイドさんの話によると不機嫌らしくて。」 「もう少し落ち着いたら是非。」 あの子・・・かぁ。最後に会ったのは中学3年の終わりやったなぁ。東京に観光に来たときに案内してもうたっけ。おばさんおったし、部活優先してえぇよ言うたのに、(後輩指導に忙しいって嬉しそうに愚痴っとったっけ。)わざわざ部活休んで私らについてきてくれた。思えばアレが最後の家族旅行やったっけ。あの後すぐにお母さんとお父さんは飛行機事故に巻き込まれて亡くなったんや。そのときの私にもおばさんたちは『一緒に住もう』って言うてくれたけど両親失って誰も友達おらへんところに行くっていうのが精神的に無理やったから駄々こねて大阪に留まった。 「あの子にはまだちゃんがどこに居るか言ってないの。」 「そうなんですか。」 「東京に呼んだことだけ伝えて詳しいこと言わなかったから怒っちゃったのかしらね。」 「きっと何かあるんですよ。部活で上手く行ってへんとか。」 「そうかしら。」 おばさんの笑うと目じりに皴が出来るところも左の頬にだけえくぼが出来るところもお母さんと一緒で、何かむしょうにお母さんに会いたいと思った。 「じゃあ、私そろそろ失礼させてもらうわね。」 「わざわざありがとうございました。」 「いいのよ。」 そう言うとおばさんは帰って行ってしまった。今思えばお茶も出さずに失礼やったなぁ。・・・チャイムの音や。これは多分、あの学校のなんやろな。青いジャージの群れが校舎に向かって帰っていく。友達と連れ立って歩く彼女たちと自分は確かに同じ10代で高校生(私は行ってへんけど年的には同じ)のはずやのに住む世界が違いすぎる。彼女たちはまぶしい。 (というわけで2話。ちゃんは両親がいません。そして予備欄のことには触れずに終わってしまいましたOrz この『おばさん』は言わずと知れたあの人のお母さんです。笑) (20080515) Menu Next |