ドリーム小説




時がたつのは本当に早くて気がつけば今日はが学校に来る最後の日や。
終業式が終わってすぐに、校長が「言いにくいんやけど・・・」と切り出したのはのことで、正直、生徒のあいだではかなり噂が広まってたからびっくりしてるのなんてほんのちょっとやった。
はこの学校に来てからあったことなんかを舞台上で話して、代表の生徒に花束をもろて、ちょっとだけ泣いとった。





終業式が終わって、軽くHRを済ませたあと、下校時間になったからか廊下は生徒で騒がしかった。は職員室で荷物を纏めとって、たまに尋ねてくる生徒に笑って答えながら、ようけの生徒から別れを惜しまれてるようやった。





職員室をあけて入ってきたんは、バスケ部の3年の女子で、俺はそいつがてっきりんとこへ行くんやとばっかり思っとった。せやけど俺の予想は外れて、そいつはまっすぐ俺んとこへ来た。(何でや。)





「オサムちゃん。」
「何や?」
「財前先生んこと好きなんやろ?」





何を言いだすんかと思たら。まいにち一緒に働いとる同僚たちにも全く気づかれてへんかったのに、こいつは何でこんなに鋭いんや。・・・まぁ、正直に答えられるはずがないけど。






「おー、好きやで。同僚やしなぁ。」





こういうときは、逆に明るく言うた方が面倒くさいことにならへんってことを俺は知っとる。せやから出来るだけ何でもない風を装って、顔は笑顔で完璧や。視界の隅っこでが校長とか同僚の先生とかに挨拶して職員室から出て行ったのが見えた。(何で俺には挨拶ないねん。)






「そういう意味ちゃう。オサムちゃんにとって財前先生は特別なんやろ。」
「急に何やねん。もし俺が好きやったとしても向こうは俺んこと意識もしてへんわ。
 今やって挨拶もせんと出てったやろ?」
「財前先生がオサムちゃんに挨拶してかんだんは、あたしのせいや。」





俺はこいつの言うとおりんこと、そういう意味で好きやけど、俺は教師でこの子は生徒やから、そんな余計なことは言わんでもえぇ。それにこいつのせいでが俺に挨拶してかんだっていうのもいまいち意味が分からん。





「お前と、財前先生が俺に挨拶せんだことに何の関係があんねん。
 完全下校の時間も近いしさっさと帰りや。」
「財前先生、他の人に取られてもえぇん?!」
「・・・どういう意味や?」
「先生、3学期から行く学校に元カレがおんねんて。」





目の前でいわれた言葉の意味を理解すんのにしばらく時間がかかった。





「それ...ほんまか?」
「ほんまや。このあいだ聞いたわ。」






気がついたら俺の体はさっき職員室から出てったを追いかけとって、職員室に置いてきぼりにしてしもたあいつが「やっぱり、ずるいやんか。あたしも好きやったのに。」って呟いたことすら全く知らんかった。






!」





俺は、職員室を飛び出してから何年ぶりか分からへんほどの全力で走った。幸いにもは車に乗り込む前で、俺はを何とか引き止めることが出来た。






「あれ、話はもうえぇの?」
「あいつとの話より大事なことが出来てん。」
「そうなん?」






の顔は笑顔やのに、俺にはなぜか泣きそうに見えた。3学期から、はまた違う学校で保健室の先生をやるらしいけど、その赴任先にの元彼がもしほんまにおったら・・・そいつが俺みたいにと別れたことを後悔してて俺より行動力のあるやつやったら?はそいつとヨリを戻すかも知れへん。それに、元彼がおらんかったとしても、は新しく出会った誰かと恋に落ちるかも知れへん。・・・それは嫌や。カッコがえぇとか悪いとか、そんなん関係なく俺が今、1番やらなアカンことは気持ちを伝えることやと思うから。








・・・好きや。」






言うた瞬間に時が止まったかと思った。まわりを静寂が包んで、は見事に固まってしもた。手持ち無沙汰な俺はどうすることも出来ずに、ただを見つめる。の瞳にあっというまに涙が溜まって、遂には泣き出してしもた。





?」






静寂に耐えきれんくなっての名前を呼ぶ。何か、反応してくれんとむなしいっちゅうか。何というか・・・・・・びっくりして心臓止まるかと思た。が俺に抱きついてきたから。






?」
「・・・ほんまにあたしでえぇん?」





が俺に聞いてきた質問は何ちゅうか、答えが決まりきっとる。





「・・・お前やないと嫌や。」





そう言って目線を下にやったら、が小さく「よろしくお願いします。」って言うたんが聞こえて、嬉しくなった俺は柄にもなく、を思いっきり抱きしめ返した。






ずっと素直になれんかった俺やけどこれからはお前んことちゃんと守って行きたい。今度は絶対逃がしたらへんから覚悟しといてや?




こんなにも簡単に
伝わっていく
の元彼のことで嘘つかれたで、あいつにはこけしやらんとこ思たけど
やっぱり嬉しいから明日の朝一であいつの机の上にこけし置いとこ。)




この話を読んでくださった皆様、感想をくださった皆様のお陰で無事に完結させることができました。
本当にありがとうございました。



(20100310)


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