ドリーム小説



会えば会うほど後悔が募る。






が来てから明らかに職員室を訪ねてくる生徒が増えた。(嬉しくないことに男ばっかや。)の姿がないとそそくさと保健室に向かっていく。(俺も混ざりたいわ。)財前の機嫌は悪ぅなる一方やし部活にも影響大アリや。(サーブの成功率もレシーブもいまいちになってしもたな、財前。)機嫌が悪ぅなる理由は分からんでもないけど、もうちょっとメンタル面、鍛えやなアカンで。





「ってなわけで、財前お前、グラウンド10周や。」
「は?!意味わからんのですけど。」
「可愛くないやっちゃなー、そこはハイやろ?」
「可愛いとかそんなん以前の問題やと思いますわ。」
「お前、最近調子悪いやろ?」
「はぁ・・・まぁ、そうっすね。」
「そしたら、10周や。メンタル面鍛えてこい。」
「・・・・・はい。」





財前はめっちゃ気難しい顔しとったけど何かを吹っ切るように首を縦に振った。(おーおーそうやって大いに成長しろよ、少年。)ちなみに財前以外のレギュラーは練習試合や。向こうでは金ちゃんと千歳がやっとるし、こっちでは白石と忍足がやっとる。今年は白石らにとっては最後の夏やからか去年よりも数倍やる気が入っとるような気がする。(気持ちはよう分かるぞ。)





「アホー!右や右!」





声をかけた時にはもう遅かった。忍足のボールが白石の足に当たった後で。





「大丈夫かー?」
「謙也、悪いけどコールドスプレー持ってきて。」





忍足が部室の中に入っていく。俺はあえて口出しはせん。(あいつらの自主性を育てるためや。え?何?給料泥棒?・・・ほっとけ。)すぐに忍足が出てきて、白石にコールドスプレーを渡す。






「白石、それ保健室でちゃんと見てもうた方がえぇんちゃうか?」




忍足の言葉を聞いてさすがに俺も見たほうがえぇか。なんて白石に近づく。確かにボールの後がくっきりや。





「保健室行ってき。」
「はい。」





白石は保健室に行った。は今頃、何しとるやろ。前の保健の先生が急な病気で倒れてから来たんがやった。(まぁ、俺はあの夏のはじめの頃の差し入れのときに初めて気付いたんやけど。)まさか、先生になっとるなんて思ってなかったしびっくりしたなんてもんじゃあらへん。正直に言うてしまうなら、まだ、好きや。会えば会うほどそう思うし、昔の俺に会えたなら絶対離すなって言うてやりたい。おいアホ、未来のお前は果てしなく後悔しとるぞ。ってな。




「あれ?部長は?」
「光、どこ行っとったんやー?」
「そこの横暴顧問の要請でメンタル面のトレーニングですわ。」
「まぁ、よう分からんけどお疲れやな。」
「はい。」
「・・・白石なら保健室やぞ。俺がボールぶつけてしもてな。」
「は?!部長、保健室行きはったんですか?!」
「おぅ。あ、メンタルに支障きたすようなこと言うて悪いな。」
「・・・はぁ。」




財前のため息が響いた。(俺もため息つきたい気分や。だいたい横暴顧問って何やねん。こけし取り上げやぞ。)




「財前、もう10周増やすぞ。」
「何や、オサムちゃんおったん?もう走るんはえぇわ。当分、やりたない。」
「ほうか。そんなら、お前忍足と試合せぇ。」




白石のかわりに財前がコートに立つ。そういえば、こいつはと同じ“財前”やった。こんなこと思うんは不謹慎かも知れへんけど純粋に羨ましい。どんなにイザコザを起こしても絶対離れたりせーへん。血が繋がっとるから。(それに、は財前をかなり可愛がっとるしな。)・・・まぁ、逆に言えばそれ以上にはなられへんってことなんやけど。(それもそれでむなしいかもな。)火をつけたタバコの先から紫煙が昇る。いつも通りの光景や。




「オサムちゃん、部活の指導中にタバコはまずいやろ。」
「あー、はいはい。何や、白石もう大丈夫なんか。」
「もう大丈夫や。あのセンセ、めっちゃ手際ようやってくれてな。」
「ほぅか。まぁ、えぇわ。とりあえず忍足と財前の試合見とれ。」
「うん。・・・・オサムちゃんはずるいなぁ。」
「何や?」
「・・・先生、忘れられへん人がおるんやって。」



頭の中からっぽになった。に忘れられへん人がおる?




「何やお前、カマでもかけたんかぁ?」



何もなかったかのように、全然、動揺なんかしてないように必死に取り繕って尋ねた。俺は成人だってしとるしもう子供やない。こないなことで生徒の前で取り乱したりしたら教育者としては0点や。



「・・・ちょっとだけ、本気やった。」




真剣な横顔が羨ましいと思った。ただ純粋に恐れもなく自分に正直なところも。俺はいつからか勇気を出すのが怖くなってしもたから。子供やないんやから「好き」やなくて「愛してる」がえぇ。そんな風に思い浮かべるばっかりで実際は行動に移せへん。タバコの紫煙は相変わらず上がったまま。俺は素直さを忘れて装備ばっかり固めとる、昔なりたくないと思っとった大人になってしもた。


(オサムちゃーーーん!!!← 好きです。本当に。この話は展開が早い。白石くんがいきなりさん好き宣言して振られちゃってるし;;(実は白石くんの心情を2.5として話を書こうと目論み中。笑)ちなみに前任の保健の先生は夏休み前に体を壊してしまったのでさんは予定が早まって夏休みから四天の保健室の先生やってます。(本当は4月からだった。)時間軸としてはジュースの差し入れが夏休みの初めで、今は夏休みのお盆前ぐらい。(ジュース差し入れから2週間後ぐらい。)一時期、全然この話を考えられなかったのでどうなることかと思いましたが良い感じで話が浮かんできたのでひとまず安心です。これから、更新頑張るので応援よろしくお願いします。)


(20080319)


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