|
「お前らー、休み中もちゃんと練習やっとったんかー?」 束の間の休息のあと、部室を覗いてみたらこれや。外に出て自主練はおろか着替えとる奴もおらへん。 「お前らーしばくぞ。はよ練習せぇ。」 「そんなん言うたってわい、だるいんやもん。オサムちゃん!わいに一声!『保健室行ってこい』って言うてぇな。」 「なっ、金ちゃんそれはずるいでぇ。俺も行きたいんやからな。」 「おーおー、どうせ行くなら練習して怪我して行け。」 「怪我は痛いやろー!」 「それ以上ゴタゴタ言うとったらほんま、レギュラー落とすぞ。」 「ぶー、けっちぃなぁ。」 何をコイツらは保健室に行きたがっとんねん。確かに保健室はクーラーきいとって涼しいし出来ることなら俺も職員室か保健室に逃げ込みたいけど、それを我慢して練習付きおうたっとんのに何ふざけたこと抜かしとんねんってな。 「ほんま何やっとんねん、あの人!」 「まぁまぁ、光、落ち着き。」 おーおー、また温度上がるような奴が来たで。 「光、機嫌悪いと?」 「おぅ、最悪や。いや、さっきな、保健室にちょこーっと寄ったんやけど。」 「ずるいー!わいかて行きたいのに!」 「新しい保健のセンセ、財前の姉ちゃんやってな。」 「あのべっぴんさん、光の姉ちゃんなん?」 「部長、まさかもうチェック済みとかちゃいますよね?」 「そうやな。しっかりチェック済みやわ。」 「・・・最悪や。」 「あぁ、先生やろ?確か25歳やって?オサムちゃんと一緒やん。」 不意に聞こえた名前に心臓が跳ねたなんてここにおる誰にも言えやん。財前。中学・高校と同級生やった。サバサバした性格とまわりより明らかに整った顔立ちで学年のアイドル的な存在やった。女子からも男子からも好かれとったし、告白とかはあんまりされてへんかったけど(高嶺の花的な存在やったからな。)多分、彼女に本気で恋しとった猛者共はようけおったと思う。・・・実際、俺もそのひとりやった。でも、まぁ俺の場合は一時期と付き合っとったんやけど、まぁアレや、大学進学っていう今考えればくだらんちっぽけなことでサヨナラしてしもたわけで。(それがこないなかたちで再会出来るやなんて。) 「アホ早よ、練習するぞ。」 「何やー、オサムちゃん先生見たないんかー?」 「後でいくらでも会えるやろ。」 「手ぇ出したら容赦しませんよ。」 「光って実はシスコンなんやな。」 「まぁ、あの姉ちゃんなら分からんくもないわ。」 「シスコンちゃいます。いきなり実家帰ってきたとおもたらそういうことやったんか。」 「わい、たこ焼き買うてもらおかな。」 「練習すんぞー。」 ちょっと、ほんのちょっとだけ後で職員室に行くのが楽しみになった。 「ほな、まずは筋トレ5セットからやー。」 「5セット?!何ふざけとんねん!いっつも3セットやん!」 「今日はえぇ天気やからな。俺はお前らを信じとるぞー。」 「「「こんな時だけ調子えぇこというな!」」」 「じゃあ、解散!」 あの後、結局、けが人が出るわけでもなくいつも通り、練習は終わった。(金ちゃんは最後まで文句言うとったな。) 「お疲れー青少年たち!」 静かやったテニスコートに明らかに部員じゃない声が響いた。 「姉ちゃん?!」 「先生、ワイ頑張ったからたこ焼き買うてぇなー。」 「金ちゃん。人にすぐたこ焼き買うて貰おうとするんやめ。」 「白石ぃー!毒手はアカン!」 「たこ焼きはないんやけどな、ポカリあげるわ。」 「おおきに。」 「経費で買うたから、これ内緒やで?」 「・・・アホや。」 「光、ポカリ没収。」 「冗談やわ。」 「素直っちゃうなー。」 何年もこの学校に勤めとる先生みたいには生徒に溶け込んどる。(いや、精神年齢が一緒なんか?)俺には気付いてないみたいで生徒の相手に一生懸命や。 「先生も飲みますー?」 不意にかかった声にびっくりして俺の反応は少し遅れた。 「へ?!はぁ、はい。」 何や、俺のこと分かってないんか? 「オサムちゃん、ちゃんとお礼言わなアカンやろー?」 「・・・おおきに。」 「オサムちゃん?」 「そう!先生と同い年やのに何かこうパッとせぇへんやろ?」 「アホ、そないなことないやろ。」 「あー!!!」 「姉ちゃん、うっさいわ。」 「オサム?!」 「・・・久しぶりやな。」 「久しぶり。」 は昔とちっとも変わってなかった。笑うとえくぼが出来るとこも背が標準より低いとこも何かに気付いたら大きい声出してしまうとこも何もかもあの頃のままや。・・・ひとつだけ違うのは俺との関係が恋人じゃなくて知り合いに戻ってしまったとこだけ。 (だいぶ前からずっと温めていた(?)オサムちゃん連載スタートさせました!オサムちゃんが何だか偽者っぽいし、この先どうやって行こうか未だに悩んでます。とまぁ、こんななんですが応援してくださると嬉しいです。) (20080310) ←Top Next→ |